【禅語】主人公:本来の自分であれ
年末が見えてきて、気忙しくなるこの時節、今月の禅語は「主人公」です。
「主人公」というと本や映画のストーリーの中心人物を思いますが、もともとは禅語で「本来の自己」「本当の自分」という意味があるそうです。
禅のエピソードはちょっととぼけていたりして好きなのですが、こんなお話しがあります。
瑞巌和尚という人は、朝起きると自分に向かって「主人公」と声をかけ、「ハイ」と返事をしたそうです。
「はっきりと目を醒ましているか?」「ハイ」「人に騙されないようにね!」「ハイ、ハイ」というひとり言を毎日繰り返していたそう。なんだかユーモラスですよね♪
主人公とは主体的な人格のこと。他人や自分の外で起こっている出来事、内側から生まれる煩悩や妄想などに惑わされない本来の自己。生まれながらにして持っている仏性、仏教用語では「本来の面目」と呼びますが、本当の自分のこと、です。
説明が難しくなりましたが、要は「本当の自分で生きてますか?」と和尚さんは毎日呼びかけていたんですね。
この禅語から私がいいな~、実践したいな~と思ったポイントをまとめてみました。
- 1、本来の自分を見失わないために:自己に向き合う習慣をつくる
- 2、本来の自分でない考え:人の価値観や思い込みに囚われない
- 3、本来の自分でいられない状況:感情に支配されない
- 4、本来の自分とは違う役割の私:自分が望んでいると認識する
1.本来の自分を見失わないために:自己に向き合う習慣をつくる
和尚さんが毎朝「主人公」と自分に呼びかけ、「ハイ、ハイ」と返事をしていた。
なんだかユーモラスな光景ですけれど、すご~く大事なことを教えてくれていると思います。
人は特に自分自身のことが分かりません。一番大事な人なんですけど(笑)
他人のことはよく分かりますよね。ここが素晴らしい、ここは改善したほうがいい、など。
人のことがよく分かるのは、その人を客観的に観れるからです。
自分自身のこととなると、なんでこんなに分からないんでしょう、と笑っちゃうぐらい、自分のことを知るのは本当に難しいな~と思います。
この和尚さんのように、客観的な認知をするためには、自分に第三者として問いかける目線がないと、本当の自分は見えてこないのでしょう。
自分の中に、問いかける人と、答える人を作る。
NLPの手法のひとつに、椅子を二つ置いて、二人の対話という形をつくり、ひとりで二役をやりながら、自分自身を知るための問いかけをして、答えていくのがあります。
その二人の対話から、本当の自分自身の真実が見えてきます。
言葉を発する対話でもいいですし、文字で書き出すジャーナリングでもよいですし、自分自身の胸の中を感覚的に観る瞑想でもよいと思います。
タスクが多くて忙しいとき、誰かの都合や、自分の思考や感情によって振り回されているとき。
数分間でもよいので、「主人公」と自分に呼びかけ、「本来の自分を見失っていないですか~?」「ちゃんとご自分の人生の主(あるじ)として、楽しんで生きていますか~?」と声がけをして、内省する習慣を持ってみるのはいかがでしょうか。
例えば、お昼ご飯を食べた後、お茶やコーヒーを飲むときに「やる」と決めてみる。
その時だけは、スマホから目を話し、思考をとめ、自分の内側を見つめる習慣にする。
「ねえ主人公、ちゃんと主人公でいられてますか~?」と問いかけてみるのもよいかもしれません。
2、本来の自分でない考え:人の価値観や思い込みに囚われない
本や経典に書いてあった「〇〇がすごい、素晴らしい」というのは受け売りなので、鵜呑みにしない。
〇〇かも、と思っても信じずに、根拠を探ったり、自分の体験から考察したり、実際にやってみて確かめてみる。
本当の自分が腹落ちしたものだけを信じたら良いのではないかと思います。
意識しなくても、育ててくれた親の価値観だったり、同居している家族の価値観だったり、所属している職場やコミュニティの価値観だったり、本来の自分のものではないのに、そうだと思い込んでいる価値観がたくさんあります。
時代が変われば価値観も変わりますし、自分自身の価値観も移り変わっていきます。
常に、本来の自分、心の底から思っていることに耳を傾け、自分の価値観をアップデートして、本当に今やりたいことは何か、どんな人生をいきたいのか、何をして、誰と一緒に過ごしたいのかなど、内省してみる。
もちろん、思いどおりに行動できない状況もあります。
ですが、まずは本来の自分の思いや考えに耳を傾けて、知ることからはじめてみましょう。
そして本来の自分を苦しめたり、貶めるような他人の考えを自分の中に発見したら、手放して、囚われないようにする。
そういった内省の姿勢を持って、微調整を続けていくことが、より幸せな人生を生きる秘訣なのではないかと思います♪
3、本来の自分でいられない状況:感情に支配されない
言葉にするとサラッとしていますが、「感情に支配されない」のはめちゃくちゃ難しいです(笑)
ですが、難しいことを認識したうえで、少しでも感情の影響を少なくしていく、という努力はできます。
ポーズのヨガを熱心にやっていた頃、ヨーガ・スートラというヨガの経典を学んだのですが、「自分の心は暴れる馬に牽引される車である。それを制御して走らせる御者になるために修行するのがヨガである。」という風に説明されていて、分かりやすい例えだと思いました。
放っておくと走り回って危ない、どこに行ってしまうか分からない馬車=心を、身体や呼吸を使って制御する御者となり、よい人生に導くのがヨガの効用です。
時代が変わったので、馬車というよりは、人間のポテンシャルから、例えは「F1カー」にしましょう。
私たちの脳は顕在的に使っている部分が10%以下なので、残りの90%は潜在意識。
もし大半の脳を使えるようになったらF1カー並みに走れちゃうパフォーマンスがあるはず(笑)
F1カーは高いパフォーマンスを秘めているけれど、走らせるのが難しいですよね。
まずは質のよい燃料を給油しましょう!滋養のある食事ですね~♪
そして、車体の点検とメンテナンス。緩んでいるボルトはないか、ギシギシしていたら円滑油をさしてよい状態にする必要があります。身体の健康チェックと筋トレ、円滑油は遊びや娯楽でしょうかね~♪
さて、やっと本題です。
車が走るのに万全な状態でも、ドライバーの腕がないと良い走りはできません!
高性能な車なのですが、パワーとスピードがありすぎて、カーブを曲がりきれなかったり、F1ドライバーには最上級の運転スキルが求められます。
感情に支配されないように、制御して運転し、事故ることなく、最高の走りでコーナーを曲がり、ベスト・タイムで人生のサーキットを走りきるにはどうしたらよいでしょうか?
- 1、マインドフルに自分の感情に気づいているようにする。
- 2、外で起こった出来事に反応した自分の認識に気づく
- 3、その認識から生まれた感情に気づく
- 4、次なる行動を感情に支配されないように修正する
という一連の流れが必要です。
認知行動療法や、瞑想やジャーナリングなどのワークを小さな習慣として積み重ねることによって、出来事への感情の反応は変化させることができます。
気づけるように練習をする>反応を変える練習をする>結果を振り返ってみる
これを繰り返して回していくことで、感情に支配されていた自分の昨日や今日を変えていき、望んでいる未来、感情に支配されにくい、本来の自分がのびのびと快適に生きられる境地に近づけるはずです♪
4、本来の自分とは違う役割の私:自分が望んでいると認識する
今まで長々と書いてきましたが、一読すると、めちゃめちゃ自分勝手に生きている、主人公ですね(笑)
「そんなことは分かってます!できないから困っているんですけど~!」という声が聞こえてきそうです(笑)
誰しも社会的な役割を持っています。
家族の中の役割、母、父、夫、嫁、娘、息子、兄、妹、、、。
職場での役割、上司、部下、先輩、後輩、リードする人、支える人、まとめ役、もりあげ役、円滑油役、、、。
その役割のせいで、やりたくないことをやらざるを得ない時間はたっぷりとありますね(笑)
そこでリフレーミング、思考の枠組みを変えてみるのをおススメします。
自分の人生は自分が主人公。
実際は誰かに頼まれてやっていることも、「自分が望んでいるからやっている」という意識を持つだけで、ずいぶんと感じ方がかわってきますし、違った体験になってきます。
大事な家族の役に立ちたいと自分が望んでいるから大掃除をする、とか。
同僚の役に立ちたいと自分が望んでいるからお仕事を手伝う、とか。
やり終えた後にニッコリ笑っている相手と自分のイメージを持つとよいかもしれません。
何かとやることが多くなる年末へ向けて。
主人公は本来の私である、ということを忘れずに、日々を楽しんで過ごしていきましょう!
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