【禅語】一笑千山青: 靄がはれて見えてくるもの

今週のテーマは「一笑千山青(一笑すれば千山青し)」。

『リーダーの禅語』の著者である曹洞宗の住職、枡野俊明氏の言葉をお借りすると、「悟りきってしまえば、目の前の世界が開け、すべてが生き生きと蘇る」という意味の禅語です。

イメージは、目の前にかかる靄を「わっはっは」と笑い飛ばし、青々とした山がくっきりと見えてくる。「千山」は仏さまのメッセージの象徴だそうです。

【目の前にかかる靄の正体】

目の前にかかっているモヤモヤしたものとは、心配、不安、最悪のシナリオや、認知バイアス、つまり色眼鏡、なども含まれると私は解釈しています。

人間は一日に6万回思考していて、生命維持の本能によって、その8割はネガティブな思考だそうなので、靄がかかるのもしょうがないですね。

それらが靄のように立ち込めて、重苦しい、暗い気分になっている状態。

でも、靄の正体は水蒸気。実は頭の中で作り出しているだけかもしれません。

それらを笑う勢いで吹き飛ばすと、だんだんと本当に大事なものが見えてくる。

枡野氏は“困難に遭遇してもくよくよ悩まずに、あっはっはと笑い飛ばし、大所高所から物事を俯瞰で見て判断できるリーダーこそが一流である”と述べています。

確かに、小さな困難であたふたしたり、悩んだりするリーダーよりは、どーんと構えている、メンタルが強くて冷静に判断できる人についていきたいですよね。

リーダーに限らず、細事にとらわれずに、視座が高くて視野が広いことは、すべての人が成功する上での秘訣ですし、幸せを感じて生きるコツではないかと私は思います。

小さなことに一喜一憂して、メンタルをアップダウンさせるよりは、どーんと構えて、ちょっと困ったことがあっても「あらら~ しょうがないね~」と苦笑いをして、「まあ、なんとかしましょう!」と笑ったほうが、よいパフォーマンスができますし、何より心が苦しまずに楽になり、健康によいです。

【見えてくる青い山々】

枡野氏は“「なんとかなるさ」と笑う余裕が現状を打開する道を開く”と述べています。

”困難な状況で、無理をしてでも笑うと、頭の大部分を占めていた小さな悩みや不安が吹き飛び、モヤモヤが晴れて、進むべき道がくっきりと見えてくる”と。

脳科学的にも、笑っている状態は思考を巡らせることができないため、悩みや不安の思考ループから抜け出す作用があります。

そして”Motion creates Emotion”の原則で、腰に手をあてたり、両手を上にあげて笑ったりすると、ポジティブな感情が生まれてきます。

ポジティブな感情が、ピンチを切り抜けることができるかもしれないという自信を生んで、だったら〇〇してみたらうまくいくかもしれない、という打開策を生み出すんですね。

困っている時の人間は背中が丸くなり、身体の中心を守るように肩を内側に寄せて、腕を身体に巻き付けたりします。

そんな風に自分がなっているのを発見したら、ぜひ、腰に手をあてて、胸をそらせて、「あーっはっはっは」と笑って試してみてください。

【私の過去の体験談】

私が笑いヨガと出会ったのは、自分の気持ちが落ち込んで、ヨガや瞑想をしても回復できないのを感じたときに、困難な状態をどうにか良くしたくて、無理にでも笑ってみようと思ったのがきっかけです。

当時、仕事場が移転して、窓が開かない高層ビルに入居した環境の変化や職場での様々なストレスが重なって、もともと持っていたドライアイの症状がどんどん酷くなりました。

考えらえる限りの治療をすべて試してみたのですが良くならず、ひどい時にはオフィスに3時間ぐらい居るのが限界で、湿度の多い自宅で勤務する日も増えました。

インターネットでドライアイの治療法を調べまくるなかで、レーシック難民と呼ばれる人たちが重度のドライアイを患い、その後の人生が台無しになったという情報を知りました。

私は10年ほど前にレーシックの手術をしていたので、すべての治療法をやりつくした時、もう私はエアコンのついている空間の中でパソコン作業をする仕事はできない可能性が高いなあという不安が実感に変わりました。

屋外の作業で、目を使わない仕事で私にできる職業って何がある?そうなったら収入はどうなる?家のローンも残っているし、扶養の娘の大学進学でこれからたくさんお金が必要になるかもしれないのに、と考えだすと、不安と心配で押しつぶされそうになりました。

もう目の前がモヤモヤだらけの状態。

近所の鎌倉山のラフターヨガ・クラブのドアを叩き、皆さんと一緒に笑ってみました。

最初の頃の身体の反応はすごかったです。

楽しい気分で笑っているのに、涙がポロポロとこぼれました。

リラクゼーションの時間はいつもボロボロと大泣きでした。

今思うと感情の浄化作用なのですが、その頃はわけもわからず、「悲しいわけじゃなくて、楽しいんですけどね。大丈夫ですから」と周りの皆さんに言い訳をして、大泣きしていたのを覚えています。

そんな身体の反応にびっくりしつつも、その時は、目の病気を患っていると思っていたので、自分自身がストレスが原因で自律神経のバランスを崩して、涙が出なくなっているということに気づきませんでした。

その後は笑う習慣を身につけたので、不思議と「なんとかなるさ」という軽い気分になり、今の仕事ができないなら、その時にどうすればよいか考えればよい、と楽な気持ちになり、涙も普通の人並みに出るように回復しました。

【笑って仏性に気づく】

笑い声で靄がはれ、青々とみえてくる「千山」とは「仏さまのメッセージ」の象徴。

先日、笑い瞑想をして体験した境地は、仏さまのメッセージの一つだったのだな~と思い出されます。

心の底から笑っていると、だんだんと不要なものが剥がれ落ちていって、人間の本質的な幸せのようなものがあるのを感じます。

困難な状況でなくても、普段の日常生活の中で、たくさん笑っていると、見えてくる大切なものがあるように思います。

一笑すれば千山青し。

笑って自分自身の仏性に気づいていきましょう♪

写真:今朝のお散歩で、昨日の大雨で散った桜の花々が落ちていました。

桜が頭上で咲いていることに気づかなかったので、びっくり。

桜には可哀そうですが、綺麗でした。ありがとう。お花にも仏性を感じます。