【禅語】日々新又日新:心も毎日新しいものに入れ替えていく
毎朝、昨日とは違う“新しい”自分になっているのをご存じですか?
身体の細胞は新陳代謝で毎日生まれ変わっているというのを聞いたことがあるのではと思いますが、朝起きたら、“新しい”自分が、まっさらの“新しい”一日を始めている、と試しにイメージしてみてください。
ちょっと新鮮な気持ちになるはずです。
日々新又日新(ひびあらたにして、またひにあらたなり)。
本来の意味は、毎日新しい心で、新しい世界に触れて、日々向上していく、という言葉だそうですが、私はことさら「向上」を意識しなくても、ただただ「新たに」なっているという認識だけでよいのではと思います。
それだけでもスゴイ効果がありますので、以下に【1】心の持ち方、【2】ビジネスに活かす、という二つのポイントに分けて、日常生活での活用法についてお伝えしたいと思います。
【1 】毎日が新しいという心を持つ
生きているだけで、自分自身が毎朝、新しくなっている、そう思うとワクワクしませんか?
草が伸びるように、つぼみが膨らむように、自然界の生き物と同じで私たちも変化しています。昨日の私と比べて、今日の私は新しい細胞で出来ていて、新しい体液を使っていて、頭や心の中もバージョンアップしています。
もちろん成長期の子供ではないので老化もしますけれど、人間的な深みや魅力は歳を重ねるごとにどんどん増していきますし、新しい自分でいることに意識を向けてみましょう♪
そして、朝起きると、新しい一日が始まっている。昨日までのことは水に流して、今日から新しく始めることができる。
川の水はいつでも新しい水が流れているように、昨日の出来事はもうここにはありません。
もちろん、続いていること、変えられない出来事はありますが、昨日のあなたはここにはいないので、新しいあなたがその出来事を感じているかぎり、違ったものになっているはずです。
もしも、まったく同じだと感じるならば、あなたの感性が鈍っているのかもしれません。
今日もまた「いつもと同じ私」が「いつものルーティーン」をやっているという思考が頭にこびりついていたら、新しい変化に気づきにくくなり、新鮮な発見が減り、感情の動きも少なくなってしまうでしょう。
臨済宗の山田老師は“毎日新しい心で、ということは何にも一物も持たない心で新しい世界に触れていくならば、 この世界は新しい”と説きました。
フィルターのかかっていない、生まれたばかりの子供のような目で世界を見ると、新しい世界が見えてきます。
今日の私は昨日とは違う「新しい」自分でいることを忘れずに、新鮮な驚きや、美しいもの、キラキラした魅力にあふれた世界を楽しんでいきましょう!
山田老師の法話が分かりやすいので、以下にそのまま引用します。
“庭の草木を見たって、毎日朝顔のつるが伸びておる。
昨日咲いた花は今日は咲かん。
水の流れは毎日違っておる。
自然の世界は毎日新しい。
人間の心だけが古いところにこだわっておる。
それが病気であります。“
日常をつまらなくするのも、病気を引き起こすのも、新しくならずに古いままでいる心が関係しているのかもしれません。
自分の心が何かにこだわってるな~と思ったら、「日々新た」とつぶやいて、老師のこの言葉を思い出してください。
【2】ビジネスには既成概念にとらわられない新しさが必要
私が勤務する企業には4つのコアバリューがあるのですが、そのうちの一つに「Not bound by convention (既成概念にとらわれない)」があります。
Conventionは慣行・慣例、Boundとは縛り付けられている状態。
今までのやり方や常識に縛り付けられるな、といっています。私はこれが大好きです。
これのおかげで、お仕事がどれだけ楽しくなることか!
前例を打ち破ってよいので、クリエイティブな考え方ができますし、何よりも自分がよいと思う新しい方法を提案して進めていけるので、楽しいのです。
「既成概念を打ち破る=未来へのエネルギー」と表現した人がいるのですが、同感です。
新しいことをやろうとすると、意欲が湧いて、目標達成への向けてのエネルギーがどんどん高まっていくんですね。
「日々新た」に話しを戻しますと、松下幸之助さんはこの言葉を好んで使ったそうです。
いつも新しい発想、新しい工夫などを続け、今までのやり方に満足せずに、日々向上する努力を続ける。成功するビジネスのお手本ですね。
今の時代は変化のスピードが非常に速いので、今までのやり方にこだわっていると時代遅れになってしまったり、頭の中も日々新しくしていかないと、ビジネス・チャンスを逃してしまったりしそうです。
先日、2030年の世界の未来予測を読んでいたら、中国が衰退してインドやアフリカなど人口の多い国が台頭してくるなど、今まで考えたことがなかったのですが、なるほど〜と思いました。
頭の中を新しい情報でアップデートしないと、世の中の空気感を読んだり、先の予測をたてたりできなくなります。
日々、マンネリ化しないで、新しいことを取り入れる、新しいことに意識を向ける、ビジネスの世界ではとても大事なことですね。
【3】まとめ
1)新しい心で世界を見ると、新しい魅力にあふれていることに気づくことができ、古い心から解放される
2)ビジネスは日々新たに、新しい視点や工夫、情報などを取り入れると成功への道が開ける
最後に山田老師の言葉の要約と引用です。
自然が新しくなっていくように、心も日々新しいものに入れ替えて、古いものは過去のものとして写真のように眺める心のゆとりを持つのがよい。
“そのように眺めていく水のような心の修行をしていくならば、そのまま仏だ。
何も無理に坐禅をなさらなくてもよろしい。
古いものをさっさと捨てていける心の切り替えのできる稽古をする。
今腹を立てたけれどもすぐ横を向いて笑っておれる。
こういう切り替えができるならば、そのまま仏である。”
本日の『微笑みヨガwith禅』では「日々新又日新(ひびあらたにして、またひにあらたなり)」をテーマに、笑うエクササイズと呼吸法で、この心の切り替えをお稽古します。
楽に、よりよく生きるために。
一緒に仏をめざしましょう♪