【禅語】任運自在:思いが叶わぬ苦しみからの解放

春が来たというのに、ウクライナの情勢が気がかりで、重たい気分になりますね~。

悲しいニュースに胸が痛みます。人々にいつ安全が戻るのか、原発は大丈夫なのか、世界はどうなるのかという不安。

こんなに進化している最先端の世の中でも、戦争という暴力を止められないことへの憤り。

朝起きると気になってニュースを見て、日中もなんとなく頭から離れず、夜には今日のロシアの動向をチェックしたり、モヤモヤがず~っと続いている方も多いのではないでしょうか?

そんな心と頭のモヤモヤを打開するために、今週の『心が軽くなる禅語で微笑みヨガ』では「任運自在」(にんうんじざい/にんぬんじざい)をテーマに行ないました。

「任運自在」とは、自分ではどうしようもない大きな流れ=運に、すべてをお任せして身をゆだね、縛られずに思いのまま、自ら在る状態です。

私が禅の教えが好きなのは、合理的で科学的、ばっさりと切り捨てる潔さがあるから。

アドラー心理学では「課題の分離」といいます。

自分の力が及ばない範囲については、思い悩んでもしょうがない。何も変えられないので。

ですので、潔く運に任せ、あるがままを受けいれ、縛られない心でただ在る。

思いが叶わないことから、苦しみや悲しみが生じます。

戦争が起こっていることと、苦しみ、悲しみが生じることの間に、自分の思いがある、そのことに気づくことも大事です。

気分が重たくなったとき、心配や不安が訪れたときにやっていただきたい、任運自在の3つのステップをお伝えします。

ステップ1. やるだけのことをやる

自宅のリビングにいながら、戦争を止められるでしょうか?

では逆に、何もできることは無いのでしょうか?

何か大変なことが起こったとき、私は自分にできることを探して、まずそれをやります。

心を痛める災害がおこったときにやれることを3つご紹介します。

  • 1)意思表示・署名する:

戦争をやめてほしい、ウクライナの人々の救済を求める署名活動にサインしました。

市民活動を呼びかける団体に登録していると、署名のお願いのメールが届くので、簡単に意思表示をすることができます。

たかが一票、されど一票です。大勢の人が請願しているという事実はパワーになります。

署名を集めている活動家の方々はそのパワーを使って、効力がありそうなステークホルダーに届けて動かしていきます。

今回の戦争にはどれぐらいのパワーになれるのかは分かりませんが、人道的な措置を求めたり、意思表示をするアクション自体が自分自身の心の救済にも繋がります。

  • 2)支援・寄付をする:

被災している人々の救済のための基金に寄付をしました。

災害の時には寄付をする習慣にしています。人のためですが、これも実は自分のためです。

私は自らの意思で行動した(自己決定感)、ほんの少しだけれどお役に立てた(自己有用感)、という自己肯定感が育ちます。

  • 3)祈る:

被災している方々が明るい気持ちになれるよう、慈愛の気持ちを送り、早く平和が戻るように祈ります。

筑波大学の故村上教授の実験では祈りの波動は距離を超えて届くそうです。

悲しいニュースを見たとき、自分が辛いな~と思ったとき、被災している方々に平和が戻った状態、明るいイメージを送ってみてください。

やれることをやる。

心が苦しい状態の時には、身体を動かしてアクションをする。何かできることをやってみるのが効果的です。

ステップ2. 大きな流れに身をゆだねる

悲しい出来事でも、災害でも、起こってしまった出来事は変えられません。

起こった出来事、それ自体、「〇〇が起こったんだ~」という客観的な事実だけを、ただ受け入れます。

良い悪いの判断はせずに、ただ、起こったんだな、と認識する感じです。

起こった出来事に意味を持たせたり、感情を伴わせたりせずに、斜め上から眺めるような気持ちで把握します。

どんなに心配しても、嘆いても、起こることは起こってしまいます。

だれにも逆らえない大きな流れ、時代のうねり、自然災害。青天霹靂。

もちろん備えることができるならば、備えたほうがよいですけれど。

先行きが不透明で分からないのであれば、あれこれ思案せずに、これから起こることをただ受け入れていく。大きな流れにお任せしていく。

清々しい覚悟。

自分でどうにもできないことについては思い悩んでもムダ。

そういう運だったのだな~と、流れに身を任せるのがよい。

ムダに心をすり減らしたり消耗することなく、その力は自分の力が及ぶところで使いましょう、と禅は教えてくれています。

ステップ3. 苦しみが生じる思考をやめる

戦争のニュースを目にすると、酷い、可哀そう、あんまりだ、なんで、、、など様々な感情がわいてきますよね~。

冒頭で述べましたが、思いが叶わないところに苦しみが生じます。

もっと人命を大切にできないんだろうか、武力行使以外の方法はないんだろうか、他の国は見ているだけで助けることはできないのか、、、などなど。

今、自分の胸にモヤモヤしている苦しみは、自分の思いや願望によって、実は自分自身が作りだしています。

それに気づきます。

軽く目を閉じて、呼吸に意識を向けて集中力を高めてから、胸の中にあるモヤモヤをよーく観察してみてください。

気づけたら、もう、そこから抜け出す第一歩を踏み出している状態です!

戦争が私を苦しめているのではなくて、「戦争が原因で発生した私の思考が苦しみを生み出している」んですね。

つまり、「戦争が起こっている→心が苦しい」のではなく、「戦争が起こっている→思いが叶わない→心が苦しい」。

なので、思いが叶わない、という部分の思考を変えれば、心が苦しい状態にならずにすみます。

自分自身の思考や感情を少し高いところから眺めるように把握できると、苦しみにはまり込むことなく、すぽっと抜け出すことができます。

また、その思考が生まれる原因となる刺激を少なくするのも、効果的な方法です。

心が痛むニュースに接する頻度を少なくする。

心の動揺をあおる、不安にさせるような報道からは距離をおく。

情報過多の社会では自分を守るために、意識して行うのがよいと思います。

ちなみに私は、頻度はなるべく一日に一回にして、信頼できるニュースサイトから情報を得るようにしています。

もし、テレビがつけっぱなしになっているようなご家庭であれば、心を痛めるような災害があった際には意識的に消して、ご家族のメンタルへの影響に配慮するのがよいのではと思います。

まとめ:任運自在

任運自在。

ただ運にお任せするだけでなく、事前にやることをやる、とお伝えしました。

事後についてもまた、起こった出来事を振り返り、原因と結果について検証することが大切です。

過去はすべてギフト。

なぜこうなったのか、そこから何が学べるのか。得たものを未来にどう活かしていくのか。

現在進行形のウクライナで起こっていることから、世界は何を学ぶでしょうか。

よりよい未来のために、何を活かしていけるでしょうか。

まずは思考を停止して、起こっている事実を受け容れ、よりよい未来がやってくることを信じつつ、祈ろうと思います。

今苦しんでいる人たちに、早く、平和が訪れますように。

里山の春は平和そのもの。
すっごく小さな木なのに満開。