ゼロ言語トーク(ジブリッシュ)がなぜアート思考をたすけるのか?

意味がない言葉(ジブリッシュ)は第一言語(母国語)より前の「ゼロ言語」とよばれます。

このゼロ言語を話す非日常的な行動をすると、頭の中にどんなことが起こり、なぜアーティストのような創造的な考えが生まれたり、感性が豊になったりするのかについて説明してみようと思います。

「アート思考」は「ロジカル思考」⇒「デザイン思考」のさらに次にくるものとして、近年ビジネスの領域で注目を集めています。

デザイン思考が誰かが欲しいものを形にする考え方であるのに対して、アート思考は自分の思考と向き合い、ゼロからイチを生み出す芸術家の考え方です。

なぜ今「アート思考」なのかというと、これからの時代はAIにはできない自分起点のユニークな視点をもち、正しい問いをたてる洞察力がビジネスパーソンにも求められるからです。

『The Artist‘s Way - ずっとやりたかったことを、やりなさい』というベストセラーがあるのですが、私はタイトルに惹かれて10年ぐらい前に読みました。

その時、「自分の内部のアーティストを育てる」ことと「自分がやりたいことを知る」ことは同義なのだと知り、とても新鮮でした。

アート=芸術、趣味の世界、というと何か遠いもののように感じますが、実は自分自身の内側とアートは深く繋がっているのですね。

著者のJulia Cameronの説明がとても分かりやすいので、彼女の言葉で「ゼロ言語トーク(ジブリッシュ)」が内なるアーティストを育てる理由を説明したいと思います。

「内部のアーティスト」とは「創造的な心、常識に囚われない自由な心、子供であり、右脳に住んでいる」とJuliaは表現しました。

私たちはその内なるアーティストに栄養を与え、大事に育ててゆけばよいのです。具体的な方法を3つにまとめてみました。

1】 左脳に住む“検閲官”を黙らせる

右脳は感性脳、左脳は論理脳といわれますが、それぞれが大事な役割を担っていて、左脳はロジカルに考え、生命の安全を第一にする思考を行っています。左脳にとっては非日常的な遊びは危険性をはらんでいるので、“検閲官”は真実を装い、アーティストにとっては否定的で破壊的な言葉を投げかけます。

アートに取り組んで、内なる神聖な声に耳を傾けて何かを生み出そうとしている最中に、“検閲官”は常識的な態度で「そんなことをやって何になるんだい?」「冗談はよしてくれ」「酷いありさまじゃないか」と水を差してきます。

そんな状況では内なるアーティストを育てることはできませんよね。

アーティストを育てる方法として、Juliaは「モーニング・ページ」という手法で、毎朝3ページ、頭に浮かぶことをとにかく書きだして、左脳が働く隙をを与えない方法を基本ツールの一つとしました。

私はかつて、毎朝の通勤電車の中で8分間これを行っていたのですが、 “脳の排水“という表現がぴったりな感情のデトックスでした。

マシンガン・トークのように休みなく、スゴイ勢いで書き続けると、左脳の論理脳が働かなくなるのでしょう、自分の内面にある感情や思考に集中することができました。ちょっと変な人ですが、電車のドアが開いて駅のホームに降りる頃には、頭はスッキリとクリアになり、たまには思いもよらなかった気づきを得ることもありました。

ジブリッシュはこの「モーニング・ページ」と同じ作業を文字に書き出す代わりに、口から出すことができます。

しかも、口からでる言葉には言語の定義が紐づいていないため、心に感じたモヤモヤした感情はそのままモヤモヤの音として口からでていきます。言葉の概念に縛られたり、表現を吟味したりする必要がなく、より自由な形で感情を表出することができるのです。

しゃべっているときには論理的な思考はできません。左脳の働きが止まるので、今まで気づかなかった内なる自分が感じていることに気がついたり、内なる自分の遊び心にまかせて自由に身体を動かしたりする冒険ができるのです。

2】 内なるアーティストと共に過ごす時間をつくる

Juliaがすすめる二つめの基本ツールは「アーティスト・デート」です。

内なるアーティストは子供であるため、親と過ごす時間が何よりも大事です。子供に向き合う時間をしっかりと確保して、子供の言い分をきちんと聞いてあげたり、一緒に遊んであげたりすることで、内なるアーティストは健全に育っていきます。

ジブリッシュは日常生活の細切れの時間でも、この内なるアーティストと二人きりの時間を作ることができます。

散歩をしながら人の目がなさそうな場所を見つけたら、目に付いたお花や樹々の葉っぱにむかって、ジブリッシュで話しかけてみましょう。

例えば、「あら~、ずいぶんきれいに咲いてますね~。へ~、ピンクのグラデーションになってたんですね!柔らかそうな頼りなげな花びらが繊細ですね~」などの思いを、ジブリッシュ(意味のない言葉)でお花に話しかけてみたとします。

今まで見ていた「ピンク色の花がある」という認識から、「可憐な桃色のお姫様が風に揺られて笑いかけている」といった感性に変わるかもしれません。

ジブリッシュ自体が遊び心いっぱいな行為のため、口から出始めたときにはもう、内なるアーティストと繋がることができるのです。

よい作品にはその核に必ず遊び心があるとJuliaは言います。内なるアーティストの遊び心いっぱいのトークに耳を澄ますと、大切なもの、足りていないものが見えてくるはずです。

3】 神秘的な感覚を大事にする

アート思考はゼロからイチを生み出す作業です。Juliaは「創造的衝動の泉」を満たすには言葉だけではダメで、視覚・聴覚・味覚・触覚などの感覚に訴える魔法をアートの武器として使うとよいと言います。

例えば、お香の匂いを嗅いだり、はだしで5分間踊ったりすると創造の心がほぐれていき、神秘的な感覚に気づくことがあると言います。

ジブリッシュで内なるアーティストの声を出しながら、感じている感覚を話してみてください。

散歩をしながら「頬をなでる風がやさしくて気持ちいい~!ちょっとくすぐったい感じだな~。お、何かいい匂いがする。何だろ~?」といった具合に。

無言で歩いていたときよりも、口に出すことによって意識を感覚に集中させやすくなります。

ジブリッシュで子供のように、「わ~!」と少し大げさに驚いてみると新鮮な感性でものを見ることができて、子供の頃にしか気づけなかった神秘的な発見があるかもしれません。

ぜひ、試してみてください♡

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