【禅語】夏に涼風あり:ポジティブな面にフォーカス

今年は7月になったばかりなのに、暑さが厳しいですね~。まるで、お盆過ぎのよう。

『禅語で微笑みヨガ』のクラスをはじめてもう二年経ちます。

昨年の夏の禅語を振り返ってみたら、8月に「心静かなれば即ち見涼し」をご紹介していました。

耐えがたい暑さの中、鬼滅の刃でお馴染みの全集中の呼吸をするとどうなるか、というような内容をお伝えしています。

ご参考までにリンクを貼りますね♪

【禅語】心静即身涼:全集中で対象と一体になる

暑い日々が続きますね。今年の暑さは例年より厳しいという予報だそう。去年も暑かったけど、例年よりってどれぐらい?と思いつつ、あまり深く考えずに、来るものに対して…

さて、今年はまだ7月なのに、暑さをテーマにしたくなりました。来年は6月になりませんように~。

今月の禅語は「夏に涼風あり」です。

文字を見ているだけでも涼しい風が吹いてきそう。

暑いな~と感じたときに声に出して呟いてみるのもよさそう。

このブログを読んだ後、そんな風に思っていただけるように、しっかりと解説していきます!

無門禅師による詩の一部で、全文はこうあります。

春に百花あり、秋に月あり、夏に涼風あり、冬に雪あり。

もし閑事の心頭に挂(か)かる無くんば、便ち是れ人間の好時節。

『無門関』より

春には花がたくさん咲いて、秋には月が美しく、 夏には涼しい風が吹き、冬には綺麗な雪景色がある。

つまらぬことにあれこれと思いわずらわなければ、いつであろうとも人間にとってはよい季節である。

カッコいい物言いですよね!

どの季節にもポジティブな面があるので、そこを眺めていくのがよいですよ~と言っているように聞こえます。

さらにいうと、閑事(つまらないこと)のなかにはポジティブやネガティブといったことさえも含まれていて、それらから離れれば、さらに季節などに左右されない境地があるのだろうな~と思います。

今回はまず前者の解釈の部分を「ポジティブな面=涼風」「ネガティブな面=暑さ」に例えて、この智慧を日常に活かすポイントを3つにまとめてお伝えようと思います。

1.暑さの中にいたら涼風を探す

ちょっと想像してみてください。

真夏の昼下がり、お仕事の打ち合わせに向かっています。

日差しが容赦なく照りつけ、湿った空気が息苦しく、汗が流れる、そんな状況で、待ち合わせ場所に向けてジリジリと熱くなったアスファルトの道路を歩かなければならない状況です。

帽子をかぶってくればよかった。日傘を持ってくるべきだった。

徒歩じゃなくてタクシーに乗るべきだった。

せっかくの服が汗で湿って、めちゃめちゃ不快なウォーキングですが、目的地に向かって歩みを進めるしかありません。

もし、あれこれと後悔しながら、準備不足だった私、判断ミスをした私を頭の中で責め続けながら歩いていったらどうでしょう?

だから私はドジなんだ。ダメなんだ。といった頭の中の呟きがはじまって、身体が不快なうえに自己肯定感まで下がってしまい、みじめ~な気分になるかもしれませんね。

そこまでいかなくても、特に意識していないと、身体の不快な部分に意識が向くものです。

「あ~、汗でベトベトで服が貼りついて気持ちが悪い~」「うわ~、ビルのエアコンの排気の前を通っちゃった~息苦しい~」など、不快なものベスト10を指折り数えながら歩いちゃう、なんてことはよくありそうですよね(笑)

そんな状況では、どこかにある「涼風」を探します。例えば、

1)深呼吸をして心を落ち着けてみる。肌にかすかな風を感じるかも:触覚

2)並木の葉の茂った緑色が涼しげに目に映るかも:視覚

3)よーく見渡してみる。道路の反対側を歩いたほうが日陰の部分が多いことが分かり、道路を渡るのがよいかも:視座を高めて観察→行動

これらによって、少しだけかもしれませんが、暑さで不快な感じが少なくなったり、意識が不快なものから快いものに向かって、不快な思考のループが止まるかもしれません。

暑さ=ネガティブな環境の中にいても、涼風=ポジティブなものはどこかに必ずあると信じる。

ネガティブな環境ではネガティブを感じがちですが、今の自分にとってポジティブになるものを探して感じていく。

場合によっては3)のように、ポジティブを得るために行動を起こしましょう。

2. 涼風に意識をフォーカスして暑さから抜け出す

一度、暑さのただなかにいる不快感を感じはじめたら、そこに意識が集中してしまい、どんどん不快になりますよね。

さらに、不快という身体の感覚が、辛いという感情になり、場合によってはイライラしたり、その環境にいることへの憤りに変化するかもしれません。

さきほどの例ですと、なんでこんな炎天下に私はここを歩いているんだろう、という怒りに似た感情が湧いてきたり。

そんな時には暑さ(ネガティブな対象)から意識をそらしましょう。

風鈴のチリンチリンと鳴る音は、少しの間、そこにある暑さから意識をそらすためにあるのではないかと思います。

冷たさを連想する音といっても、実際には冷たくないし、体感温度が下がるわけではないので、意識を不快な暑さから引きはがして、涼しいほうにフォーカスさせていく、そんな効果でしょうか。

話しは少しそれますが、私が小学生の頃、珍しく体調を崩した母が寝込んでいるときに、お隣さんの風鈴の音がうるさくて眠れず、とても辛かったと言っていました。

体調が悪くて布団から出られず、ひたすら耳障りな音に耐えていた母を思うと気の毒なエピソードで、風鈴の音は好きですが、今でもご近所に響きそうなところには風鈴を飾れません。

ですが、今思うと、その時の母は体調が悪いのに眠らせてくれない風鈴の音に対して「嫌な音」というラベルを貼って、不快に意識をフォーカスしてはまり込んでしまい、イライラを募らせ、風鈴を下げているお隣さんに対してご近所迷惑だと怒っていました(笑)

気持ちを切り替えるために、風鈴の音が気にならないように、何か他のものに意識を向けられればよかったんですけどね~。

話しを戻すと、ネガティブな感情にはまりこみそうになったら、意識の向け先を少し変えてみて、はまり込みから抜け出しましょう!

3.いつでもどこでも涼風を探せるようになる

涼風(=ポジティブな面)を探して見つめることを日常的に繰り返し続けていると、自然とポジティブな面がよく目に入ってくるようになります。

これもある種のクセ、といえますね。

ポジティブ発見グセ(笑)

これは人生を幸せに過ごすための結構大事なスキルだと思います。

笑いヨガのエクササイズをはじめてから、日常的に小さなことでもよく笑うようになって実感したのですが、何かの出来事に出会ったときに、面白いこと、嬉しいこと、感謝する対象に自然と意識が向くようになっていきました。

笑うと分泌されるホルモンで脳が快感を覚えていて、ニッコリ笑えるものを無意識で探しているのかもしれません。

思考回路は習慣による訓練で変わっていきます。

不平不満が心の中に渦巻いていたり、どうせ〇〇だ~と悲観的な思いをいつも抱いていたら、微笑ましいものがそこにあっても、目に入ってこないのでしょう。

どんなに暑い(ネガティブな)状況でも、必ず涼風(ポジティブ)はあるので、思考回路の習慣を変えることで、ポジティブ発見グセをつけちゃいましょう!

失敗は成功のもと。ピンチはチャンス。

ネガティブこそ、ラッキー!と喜びに代えることができるのですから。

いつでもどこでも、ポジティブを探せるようになると、逆境に強くなりますし、「まあ、いっか~」と楽になっちゃいますし、「私、いけてる~!」と自己肯定感が高まっていきます。

まとめ

「涼風=ポジティブな面」 と言葉を置き換えてみますと、

1. ポジティブな面があることを知っている

2. ポジティブな面に意識をフォーカスしてネガティブなまり込みから抜け出す

3.いつでもどこでも ポジティブな面を探せるようになる

ということについてお伝えしました。

夏に涼風あり。

何かの時に思い出していただけたら嬉しいです♪

標高2000m。涼しい風が吹いていました