【禅語】時々勤払拭:心をピカピカに保つ
梅雨でじめっとするこの季節、鎌倉の山のほうにある自宅にも潮風が入りこむせいか、思わぬところにカビが生えたりします。木製家具の表面にうっすらとカビが生えたりして、毎年お掃除する場所が増えて悩ましいです。
そんなこの時期に思い出す禅語は「時々勤払拭(じじにつとめてふっしきせよ)」。
小さな汚れを早めに取り除いて、ひどくなる前に対処したいものです。
神秀さんという禅僧の詩「心如名鏡台(こころはめいきょうのごとし)莫使惹塵埃(
じんあいをしてひかしむることなかれ)」に続くのが「時々勤払拭」。
「心は本来は鏡のように美しい。曇らすチリはホコリは毎日、払ったり拭ったりしなさい。その積み重ねが大事です」という意味です。
お掃除についてではなくて、心についてのアドバイスなのですね。
先日の「心が軽くなる禅語で微笑みヨガ」ではお掃除と冷蔵庫の中チェックなどをして笑いながら、心の中のザワザワする気持ち、頭の中のモヤモヤ、目を曇らせているバイアスなどをキレイに拭い去りサッパリとして、気持ちよく呼吸しました。
この禅語が気づかせてくれるポイントについて3つにまとめてお伝えします。
1. 【心の中にチリやホコリをためない】
キッチンのコンロ周りの油汚れのように、心の中のチリやホコリも溜まっていくと、凝り固まって取れにくくなってしまいますね。
心の中のチリやホコリとは、例えばネガティブな感情、怒り、イライラ、悲しみ、不安、妬み、罪悪感など。
感情それ自体は悪いことはないのですが、外に出さないでため込んでしまうと、気分が落ち込んだり、自律神経を乱して体調に悪影響を及ぼしたり、後々に手に負えなくなる可能性があります。
抑うつ感情は上手に、こまめに解消していくのが、心を健康に、平穏に保つコツです。解消方法はご自分にあったものがよいですが、心で起きていることは頭で解決するのは難しいので、身体を使うのが手早く、かつ強力で適していると思います。
Motion creates emotions(動きが感情を作る)の原理で、身体や顔の表情筋を使って明るい気分に変えていきましょう。
個人的におススメなのは、ジブリッシュ(
意味のない言葉)で感情表現をすることです。意味がない言葉なので、安心安全に抑うつ感情を吐き出せますし、話すことで詰まっていた息が解放されて、新鮮な酸素が取り込まれます。笑いヨガで悲しそうに「あははは~」と表現するのもジブリッシュの一つです。そして十分にデトックスしてから、明るいポジティブな気分の感情表現、笑うアクションを行って、気分をポジティブへと転換していきます。
その他には、明るい唄を歌う、走る(たまにジャンプを入れるとポジティブ感が増します)のもよいですね。
塵や埃で曇るのは心の中だけでなくて、頭や目の汚れも要注意です。
頭の中に思考が渦巻いてぐるぐるすることがありますね。
ふと、今ここの瞬間に意識を向けてみると、ぐるぐるとした思考が頭を汚していたんだな~と気づけるかもしれません。そんなときは、さっさと思考を手放して、まっさらにしてから、考えごとをするのであれば、紙に書いて整理すると、頭が休まって、キレイな状態になります。
モノを見る目も汚れます。
人と意見が合わないとき、もしかすると、自分の目には自分のバイアス(
偏見)がかかって色がついたり、見えにくくなっているのかもしれません。相手の目になってモノを見てみたら分かりあえるかもしれません。
自分のバイアスで世界を見るのは悪いことではないですし、しょうがないことだと思いますが、汚れに気づいたら、キュキュッと拭いて、ニュートラルな、ありのままの世界が見えるように調整できたほうが、人生がもっと楽になるし、楽しくなるのではと思います。
2.【嫌なものを見て見ぬふりをしない】
心の中の塵や埃の中には、ネガティブ感情だけでなく、もう少し複雑なものもあります。
例えば、人間関係でのちょっとしたすれ違いがあった時に、波風を立てないように言いたいことをぐっと飲みこんで、そのまま放置してしまうことも、ホコリのようなものです。
段々と積み重なっていくと、手遅れになって関係自体が悪くなってしまうことがあります。
また、ネガティブ感情まではいかなくても、人とのやりとりや、自分自身の行動について、ちょっとした違和感を感じたときに、その気持ちは何なのか、何が原因で感じたものなのか、を明らかにしておくとよいですね。
具体的には書き出すのがおススメです。自分自身の心をメタ認知する(俯瞰で客観的に観る)ためには頭の中で考えているだけでは難しいので、文字にしてみると、意外なことに気づいたりします。
キレイさっぱりとした心を保つには、心の中がモヤモヤとしたその時に、なんで今私はこんな気分になっているのか、その曇らせている要因を見つけて、手遅れになれないように、早めに曇りをふき取りましょう。
3.【気づいたら、すぐアクションする】
先日の『微笑みヨガ』では、冷蔵庫の中で放置した瓶詰、というメタファーを使ってエクササイズをしました。
なんとなく気になっている、開封してから時間が経っている瓶詰。かすかに、傷んでいるかな~という思いが頭をかすめるけれど、ドアを閉める。次に開けたときに目の端にその瓶詰が入るけれど、また閉める。その繰り返しをしたとしましょう。
見なかった、気づいていない、というつもりでも、潜在意識はそのたびにちゃんとその感情をキャッチしているそうです。それはどんな気持ちでしょうか?
放置している自分に対してだらしないな~と思う気持ち、開けたらどうなっているんだろうという怖い気持ち、いつか片付けなきゃいけないな~という面倒な気持ち、かもしれません。どれもあまり持ちたくないものばかりですね。
最初に気づいたときに対処していれば、そんな嬉しくない気持ちを潜在意識に何度も味わわせなくてすみます。
なーんて、言うのは簡単ですが、行うは難し。
私も耳が痛いのですが、「潜在意識には見て見ぬふりは通用しなくて、ちゃんとキャッチしている」ということを覚えておこうと思います。
嫌なもの、ネガティブ感情を発生させるものにまず、気づく。
気づいたら、放置しないで、早めに対処する。
原因が取り除けなかったら、対応を考える。そして時間を置かずに行動する。
自分の心を最高な状態にキープするために、時々に勤めて払拭せよ。
ピカピカに輝く美しい鏡のような心に世の中を映して、人生を楽しんでまいりましょう♪