【禅語】歳月不待人:機会を逃さずにしっかりと楽しむ

ああ今年もどんどん終わりへと近づいていくな~と思いながら、今朝の『微笑みヨガ』のテーマはこの言葉にしました。

歳月人を待たず(さいげつひとをまたず)。

どこかで聞いたことのある言葉ではないかと思います。時は人を待たず、という言葉を母が口にしていたのではないかと思うのですが、私にはなんとなく馴染みのある言葉です。

時は自分の都合に合わせて待ってくれなくて、どんどん過ぎていってしまう、そんなイメージが浮かびますね。

時が流れていくのは自然の摂理。しっかりと一日一日を大切に、マインドフルに過ごしていきましょう、という意味なのかな~と思っていました。

そしてこの言葉を選んだときに頭に浮かんだのは、たぶん『7つの習慣』という本だったと思うのですが、その中にあったエピソードです。

お父さんが仕事で頭も時間もパンパンな時期に、息子が「パパ、一緒に遊ぼうよ~」と言ってきます。
今は忙しいから、、、と遊ばずにいて、仕事で成功して時間に余裕ができたとき、「よーし、一緒に遊ぼう」と息子を誘おうとするのですが、もう大きくなっていて、一緒に遊ぶなんてできないよ~、というお話しでした。

子供の成長は早くて、大事な機会を失ってしまったんですね~。
世の中のお父さんに多くありそうな、思い出すたびにちょっと切なくなるエピソードです。

歳月人を待たず。

大事な時、ここぞという時をきちんと見極めて、しっかりその時にしかできないことをやっておくのだぞ~、という意味なんだろうなぁと思いつつ、本来の意味を調べてみました。

【楽しめるチャンスがあったら、逃さずに、しっかりと楽しもう】

コトバンクにはこうありました。
「歳月は、人の都合などにおかまいなく、刻々と過ぎ去ってゆく。時のたつのは速いから、時間をむだにしてはならない。」

ふむふむ。
しかし、元の原文を見てみると、本来の意味は少~し違っていて、違う意味で年末にぴったりな楽しいものでした!

陶淵明(陶潜)さんの漢詩の一節だそうです。

歓を得ては当に楽しみを作すべし。斗酒、比隣を聚む。

(歓楽の機会があれば大いに楽しんで、近所の人を集めてお酒を飲もう。)

盛年、重ねて来たらず。一日再びあしたなり難し。

(若い時は二度と来ないし、一日に朝は二度とない。)

時に及んで当に勉励すべし。歳月人を待たず

(時を逃さず心ゆくまで楽しむことに励みなさい。時間は待ってくれないのだから)

なんて大らかな、素敵な詩でしょう!

時間を大切にして勉学に励むのも大事なことだけれど、若いときしかできないこと、その時しかできない楽しみをしっかりと楽しむということも、とっても大事なことだよ~と教えてくれてるんですね。

チャンスがあるごとに、しっかりと楽しんできた、そのひとつひとつの積み重ねが、悔いのない、豊な人生を作っていくのだと思います。

【そのチャンスは二度とないかもしれない】

「歳月人を待たず」の英訳を調べてみると、
“Time and tide wait for no man“とありました。なるほど~。

Time(時間)だけでなく、Tide(潮)は時間によって変化する状況を表してますね。どちらも自分に都合がよいように待っていてくれません。

私の家の近くのサーフポイントは潮が引かないと波が割れずにサーフィンできないことが多いので、自分がサーフィンしたい時間帯と潮の満ち引きが合わないということがよくあります。

例えば、土曜日の朝10時からサーフィンしようと決めても、波と潮がそれに都合よくあってくれるわけではないので、自分のほうが波と潮に予定を合わせないとサーフィンできないんです。

逆にいうと、波が楽しめそうなチャンスがきたら、予定を変更するなどして、すぐ行動できるように自分の都合を調整しておくことも大事になります。

好機を逃さずつかめるようにしておく、ってことですね。
他のことにも応用できる心がまえだと思います。

そういえば先日、幼なじみの親友が珍しく電話をかけてきて、年末に一緒に北海道に滑りに行かないかと誘ってくれました。

彼女は最近シングルになったのですが、運転できる大人が一人きりで、フェリーと車で二人の子連れで行くのは結構大変だなぁと、思いました。

私も娘が今より小さい時に、二人で何度か車で滑りに行ったのですが、子供は遠慮なく眠ってしまうので、運転を代われる人がいないと辛いです。それに雪道はちょっと怖いので、何かあったときにもう一人大人がいたらいいのにな~と思ったものでした。

実は年末休暇は出かけずにゆっくりして、家の周りの片付けをしようと考えていたのですが、せっかく連絡をもらったので、二つ返事で行くことにしました。

大学時代に彼女と一緒に何度も行ったスキー場の宿に、お互いが子連れで一緒に行ける機会なんて、また来ないかもしれないからです。

来年になったら、子供たちの誰かが参加できなかったり、お休みが合わなかったり、行けるお金がなかったり、また違うウィルスが流行っているかもしれません。

今朝の朝活では友人から電話がかかってきて、考えて、予定を片付けて、スキーに行くまでの過程を笑うエクササイズに仕立てて、笑いながら皆で一緒に味わってみました。

楽しみが先にあると思えば、3倍速の力で仕事や片付けも済んでしまうかもしれません。

忙しく大変なときほど、笑って行うのを忘れずに。

楽しめるチャンスは逃さぬように。

歳月人を待たず。

いつも忘れずに心の中に置いておきたい言葉です。

どれぐらいの歳月をここで見守ってきたのだろう