【禅語】而今:今、この瞬間を生きる

今週の『微笑みヨガ with 禅』のテーマは「而今(にこん)」。 

道元禅師が中国で修行をしていたときに悟った世界観で、過去も未来もなく、実際には今しかない。つまり「今、この瞬間を生きる」という意味だそうです。 
 漢字2文字、ひらがなで3文字のシンプルで覚えやすい言葉ですね。
私たちの生活の中で意識すると深くて良い言葉だな~と思うので、4つのポイントにまとめてご紹介したいと思います。
 
1.【実際には今この瞬間しか存在しない】 
 過去も未来も今この瞬間には存在しなくて、私たちが実際に生きているのは、今この瞬間だけ。
マインドフルネスや瞑想をしているときに、本当にそうだな~と、一番よく気づけるのではないかと思います。 
 気分がちょっとせかせかしていたり、モヤモヤとした心配があったりするときに座って静かに今ここに意識をむけると、それらは実際にある感情ですが、だいたいが自分自身が作りだしている過去や未来に関連する感情であることに気づきます。
 普通に日常生活を送っていると、忘れてしまう概念なので、特にモヤモヤしたときに「而今」を思い出してみましょう。

ではどうやればいいのか、具体的なやり方はこの後でご説明します。 

 2.【今を味わうことで体験が豊かになり、人生が豊かになる】
 私たちの日常生活は7割が無意識、つまり、歯を磨こうと思ってなくても勝手に歯を磨けてしまう、いわば自動操縦モードで行われているそうです。
私は上の空で何か考えてるな〜と気づいたときには、なるべく今やっている行動に意識を戻すようにしています。 
例えば、 朝、緑地を散歩していても、気づかないうちに考え事をしていることがあるので、鼻から匂いをかいで湿った土や草の香りがするかなぁと感じてみたり、樹々の間から差し込む光が当たって輝いている葉っぱはないかなぁ、と探してみたりします。
ちょっと遊び心をもって、目に入ったものに対して「Woooow(ワ~オ)!」と驚くジェスチャーをしながら見てみると、「へ~!こんなふうになっていたんだ~」「うわっ!思っていたよりすご~くきれい~」など、動作につられて感情が豊になっていきますので、おススメです。
 意識を今に向けて今あるものをたっぷり味わうと、散歩の20分間の体験がより豊かになり、充実したお散歩だったな~と思えるんです。ぜひ試していただきたいです。
 散歩の間に考え事をするときもありますが、「〇〇を考えている」ということを意識して、思考がいろんな方向へとめどなく続くのをやめるようにします。そうしないと、本当に頭のおしゃべりはとまらなくて、どんどん進んでいってしまいます。
 私はお散歩の時間は感性を磨くために使うべきだと思っています。
 考え事は紙に書きながらするか、瞑想クッションに座って脳がふんわりとしたDMN(デフォルトモードネットワーク)になっている状態でするのが一番良い気づきを得られるように思います。
 何かをしながら、ぐるぐると思考をめぐらせるのは考えているようで、あまり意味がないこともありませんか?
 考え事が始まって今ここに起こっていることに意識が向いていないな~と思ったら、「而今=今この瞬間を生きる」を思い出して、戻ってきましょう!
 今ここには豊かな体験が待っています♡
 3.【今の連続が未来へと繋がっている】
 未来とは今この瞬間のひとつひとつが連続した先にあるものです。
私たちが未来へ影響力を及ぼせるのは「今」だけなので、「今この瞬間」に関してアクションすることしか、未来を変えられないのですよね。 
例えば、やることを先の予定表に入れることも「今この瞬間」のアクションです。
 そう考えると「今この瞬間」がとても貴重なものに思えます。 
 キレイなおうちで気持ちよく住みたいな~と思ったら、目についた汚れを今拭いてみる。
今日は時間がなかったら、週末の予定表に掃除の時間を書き込んでおく。
 いつかフランス語が話せるようになりたいな~と思ったら、YouTubeを開いて日常会話を「今」5分だけ口に出してみる、など。 
 小さな積み重ねがびっくりするぐらい違う未来をつくります。
 私は新しい習慣を生活にとり入れるようになって半年ぐらい経つのですが、習慣が人生を作るというのは本当だなぁと実感しています。 
 毎日1%改善すると指数関数的によくなっていくということが『Atomic Habits』という本に書いてあるのですが、一旦よい習慣の曲線にのると、どんどん未来がよくなっていくように思います。
 やりたいこと、なりたい状態があったら、Small Step、つまり、すごく小さな2分間でできるアクションを、今、スケジュール帳に書くことをおススメします。 
 今日、小さな一歩を踏み出すことで、未来が大きく変わります。逆にいうと、未来を変えるのは今しかないのです。 いつだって「今でしょ!」「而今」です。
 4.【お金は増やせるが時間は増やせない】
 私たちに与えられた時間は有限であることを知らない人はいませんが、お金と違って時間はあたりまえにあるので、ついつい、大事なものであることを忘れてしまいますよね。 
 ちょっとした2分ぐらいの隙間時間にスマホを開いてSNSを見たら、気になる広告があって開いたらショッピングが始まってしまい、30分も使ってしまった、とか。私はあるあるです。
 「必要な買い物だったから、、、」など自分に言い訳をしますけれど、その日のその時間をそれに使うべきだったか?という視点で考えると、うっかり使ってしまった、というのが正直なところです。
YouTubeを開くときも、時間を決めてみないと危険です。 
 お金は増やしてお金持ちになることができますが、人生の「時間」は限られ増やせないので、メンタリストDaigoさんは「時間富豪」になる方法、つまり、自分の好きなように自分の時間を使える人になる方法を語っていました。
 そういう観点で考えると「今この瞬間」がとっても貴重に思えてきますね。 
では具体的に「而今」の実践のためにやったほうがよいことをお伝えします。
ステップは次の3つです。
【1】毎日の時間の使い方を観察、把握する
アプリでも手帳でもよいですが、30分刻みで書けるスケジュール表がおススメです。
仕事だけでなく、プライベートの予定も一緒に書き込んで、どこに空き時間があるか、ぱっと見てわかるようにしておきます。
そして、実際に何をやったか、特筆すべきことを記録しておきます。
5分休憩するつもりが、30分スマホにくぎ付けになっていた、なんて実態も見えてきます。
【2】今日が素晴らしい日だった、と思える活動(ハイライト)を予定にいれる
緊急性のあるTO DOのやることリストとは別に、一つだけ、自分自身が今日一日を生きたことを満足できるだろうことの時間を記入してみてください。
例えば、リラックスできるお風呂の時間でもいいですし、一人静かにお茶とお菓子を楽しむ時間、家族や友人とお喋りする時間でも、ゲームに没頭するのでも、何でもよいです。
そして、それをやるときに、完全に「今、そこ」に集中して、味わってみてください。
毎日のハイライトには、夜眠る前に「あ~ 今日は良い一日だったな~♪」と思えそうなものを選びます。
【3】振り返る
その日のうちか、翌朝に、どんな一日だったのかを振り返ります。
自分の大事な時間について、チェックしてみるのをおススメします。
ちょっと難しい言葉になってしまいますけれど、問題解決のメソッドでOODAと呼ばれるやり方で説明すると下記のようになります。
Observe(観察)、Orient(状況判断、方針決定)、Decide(意思決定)、Act(行動)にあてはめると、こんな感じです。
-「あらら、やるはずだった予定をすっとばして、私ったら2時間もスマホを触ってたんだ~」=観察
-トイレに立つときにスマホをチェックしたのがきっかけだわ。スマホの通知に邪魔されないようにしたいな~」=状況判断&方針決定
-「スマホの通知をオフにして、夕食の片づけが終わってからスマホを見ることにしよう」=意思決定
- 明日はそれを実行できるよう、忘れないようにメモっておきます。
 SNSや動画サービスなど、時間泥棒がたくさんいますので、うっかり取られないように「而今」を忘れずに、有限な資産=時間を大事にしましょう!
 言うは易く行うは難しですが、「今この瞬間を生き」続けたいですね。 
 忘れないように覚えておくために、朝活のラフターエクササイズでは「やったー」の掛け声を「而今」に替えて、「にこん、にこん、イエーイ!」にしてみました。
「おっと、あぶない、時間をとられそう」と、まずは気づいて、「にこん、にこん、イエーイ!」、気づけてよかったね、と喜びましょう♪ 
 このブログが誰かのお役に立てたら嬉しいです。
長文を読んでいただきまして、ありがとうございます。