【入棺体験】人生の終わりから逆算して生きる

先週、本物の棺に入るワークショップに参加しました。

なぜ参加したかというと、素晴らしい人生を送っていらっしゃる方の人生の転機となったご経験には、病気や事故などで余命が現実的に見えた時だった、ということをよく耳にするからです。

最近私が感銘をうけた人は、死に至るかもしれない病を経験し、無事に生還した後、ものの見方が変わって、築いてきた夢のような財産をすべて処分してスーツケース2個分だけになり、旅に出たそうです。

死を現実のものとして体験するというのは、それほど強烈なものなのか~、と思います。

ガンジーの「明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい。」という美しい言葉があります。
スティーブ・ジョブズは「今日が人生最後だとしたら、、、」という言葉を残しました。

満足のいく最高の人生を送るには、死から逆算するのがよいのだろうな~と。
頭ではなんとなく分かるような気がしますが、身体で体験してみると、腹で分かることがあるのではないかと思いました。

実は一年前のジブリッシュの合宿の夜、蠟燭の灯りのみに照らされた暗いお堂に横たわり、生前葬を体験したことがあります。(続きが書けていませんが、そのときの様子は”【ジブリッシュ】合宿での気づき①:思い込みからの解放”をご覧ください)

皆さんが唱えるジブリッシュのお経らしき音色と啜り泣きの中、温かいお別れの言葉をジブリッシュで囁いていただき、見送っていただきました。

あの時はサプライズの企画で、あの世に旅立つ覚悟が作れていなかったのですが、様々な思いが頭をよぎり、生きていることに感謝の気持ちが生まれ、大事に生きようと思いました。

さて、今回の入棺体験は、”100歳であの世に旅立つ自分”をイメージして臨みました。

見送ってくださるのは、葬儀のプロの宮地勇さん(じーさん。一般社団法人おかやまスマイルライフ協会代表。一番最後の写真下中央)。

さすが、多くの方々を看取ってきたご経験が活かされた内容でした。

イベントは前日から始まった

イベントの前日に届いたメールは”「明日死にます!」”という予告でした。

実際に前夜を迎えると、複雑な心持ちに。

せっかくなので、しっかりと思いを馳せました。

最後の晩御飯は何をたべるだろう?
布団に入る前に何をするだろう?
目を閉じる前に何を考えるだろう?

私は100歳の長寿を全うしたという設定だったので、前夜は来るべき時を待つ、静かな時を過ごしました。

その頃にはもうこの世にいないだろうな~と思いながらも、今までの人生の中で感謝の気持ちを伝えたい人々をリストアップしました。

最後の食事はかなりマインドフルに味わいました。

しっかりと食べ物のディテールまで見つめて、口内に広がる感覚を楽しみました。

もう味わうことができないと思うと、貴重な味覚。

香り、歯ごたえ、舌触り、色々な味。

最後の晩餐には、いろんな種類のお料理を少しずつ味わって、楽しめたらよいな~。ちゃんと食べられる状態で死にたいな~と思いました。

ワインも用意したのですが、味覚が鈍くなってしまうのが嫌だったので、少しだけ味わいました。

普段も感覚が鈍くなるのは嫌なはず?本当は飲まないほうがよいのかもしれません。

最後の夜なので、寝てしまうのがもったいなくて、眠気に耐えられなくなるまで夜更かししました。

限られた時間だと思うと、大事なことに時間を使いたいな~と思いました。

ふとSNSの返事がきっかけで、30分ぐらい我知らずな状態でスマホを見てしまったのですが、もったいない~!と思いました。

いよいよ当日

どんな服で最後を迎えますか?

という質問が来ていたので、やっぱり上下とも真っ白な服を着るでしょ~と思っていたのですが、当日の朝は、鮮やかな色を着たい気分でした。

自分の亡骸に会いに来てくださる人がいるならば、自分が好きな服、見て欲しい服を着たいものなんですね~。

普段はあまり着ない赤い色を身にまとい、会場へと向かいました。

はじめに、じーさんのお話しを聞きました。

ご葬儀の打ち合わせ時に故人に対して向けられる言葉で、その人がどんな生き様をされて、周囲の人々にどんな影響を与えてきた方なのかが分かるそうです。

ご遺体は足首が伸びて、普段より身長が10センチぐらい長くなることがよくあるそうなのですが、棺のサイズを大きくしますか?とご遺族に聞いたところ、故人には苦労させられたので、小さい棺に押し込めてください、と言われたことがあるそうです。なんだか悲しい話しです。

脳が死んでもしばらく聴覚は残っているという話しを聞いたことがありますが、最期にそんなことは聞きたくないですね~。

次に、旅立ちに向けてのワークをやりました。

入棺した時に、自分がどんな風でいたいか、集まってくれた人に何と言ってほしいか、棺を目の前にして、具体的なイメージをしながら書き出していきます。

ワークの中で、今自分が大事にしているもの・こと、好きなもの・こと、を書き出すのですが、、、

それらはすべて、あの世には持っていけない。すべて完全に失うことにも気づかされました。

だんだんと、あの世へ行く心の準備が整ってきました。

いよいよ入棺。

白い棺の寝心地はなかなかよくて、寝袋に入っているときのような、包まれている心地よさがありました。蓋が閉められると真っ暗になり、音もかなり遮断するので、自分だけの空間でリラックスできました。

先ほどのワークで自分がどんな風に送られたいかの希望を書いているので、皆さんがそれを参考に、私が入っている棺の周りでお喋りしてくれました。

「さとちゃんは好きなことやって、幸せな人生だったよね~。」

「一緒にバカなことやって楽しかったな~♪」

「98歳の時にもオーストラリアに行ってたもんね~(笑)」

そんな想定外の言葉もあってクスっと笑ったりしながら、棺の中から聞き耳をたてて、ちょっとくすぐったいような気分でした。

自分は死んでいて、もう二度と皆さんとは話せないという設定で聞いていたのですが、なんだか、もっともっと皆さんの声を聞いていたいと思いました。

人ともう二度と関われないと思うと、強烈に関わりたい気持ちが湧いてくる、そんな感じです。

私は普段はあまり人付き合いを積極的にしていなくて、どちらかというと、一人でいる時間のほうを重視してしまうのですが、実は人との関わりがとても大事だと思っているんだな~、これからは、もっと関わっていったらよいのかもしれないな~という気づきを得ました。

再び生まれる

棺の中にいた時間は5~6分ぐらいでしょうか。

暗闇の中で意識を研ぎ澄ませていたので、今風に一言でいうと、整いました!

蓋を開けていただいた時には、新たな誕生!のような、清々しい気分に。

生き返れてよかった~!やったーイエーイ♪

参加者の中には涙が止まらなくなっていた方もいらっしゃいました。

面白いのは棺の蓋が開いて、出てくる方、それぞれが、ちょっと興奮気味に違った気づきを得ていたこと。

大切なものは自分の中にあって、それに気づかせてくれる場ときっかけが必要なんですね~。

最後に、3日以内に実行する、やることリストを書きました。

娘ちゃんに「大好きだよ~」とハグすると書いて、実行しました。 

ネコにはいつもやっているのに、一番大事な娘ちゃんには大きくなってから、やっていなかった(笑)

死んでも死に切れません。



イベントを主催くださったのはいつも笑いと愛を惜しみなく与えてくれる福薗ちよこさん(ふくちゃん、下記の写真左上)。

会場のオモロバはふくちゃんのイメージそのままの、愛に溢れた、心地よい雰囲気のお部屋でした♪

9月にまた開催があるそうです。ご興味を持たれた方、ぜひ体験してみてください。

私も覚悟ができたらなので、いつになるかわかりませんが、次回は”3年後先ぐらいに突然の死を迎える”という設定で入棺体験してみようかな~と思っています。辛いだろうな~。

その時は辛いでしょうけれど、その後の日々を大事に、本当に大切なことに向き合って生きていけるのではと思います。

貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました♡

みんなそれぞれの気づきを得て、さっぱりしたいいお顔になりました♪